
米SECの新ガイダンスで加速する「暗号資産ETF」ルール策定の第一歩
概要
米証券取引委員会(SEC)は2025年7月、暗号資産(仮想通貨)に連動するETF(上場投資信託)に関する新たな開示ガイダンスを発表しました。これはSolanaやXRP、さらにはトランプ元大統領のミームコインなど、多様な暗号資産ETFの申請承認に向けた「最初の一歩」となります。
ガイダンスの主なポイント
- SECの方針転換
共和党主導のもと、SECは暗号資産分野への対応を大きく転換。新たな規制策定タスクフォースを設置し、従来の強硬な執行姿勢を一部緩和。 - 開示要件の明確化
ETF発行者は、カストディ(資産管理)体制や競争リスクなど、暗号資産ETF特有の要素を「平易な英語」で説明することが求められる。 - 規制プロセスの簡素化へ
従来は新たなETFごとに「19(b)4フォーム」と呼ばれる特別申請が必要だったが、今後は共通テンプレート導入で審査期間が大幅短縮(最大240日→75日へ)。
業界・市場の反応
- 主な評価
- 「このガイダンスが存在すること自体が大きな進歩」(Bitwise CIO)
- SECが暗号資産ETFの主流化を認め、ルール作りに本腰を入れ始めた証拠と受け止められている。
- 今後の展望
- 次のガイダンス(テンプレート導入)が発表されるまでは、Solanaなど新規ETFの承認は早くても秋以降と見込まれる。
- 申請中のETFにはXRP、Polkadot、Dogecoin、トランプミームコインなど幅広い銘柄が含まれる。
先行事例と競争激化
- REX-Osprey Sol + Staking ETFの登場
REX FinancialとOsprey Fundsは、既存ルールを迂回する複雑な構造で米初のSolana連動ETFを上場。- 間接的にSolanaと海外ファンドを保有する仕組みで、規制の隙間を突いた。
- ステーキング(ブロックチェーン取引検証への参加)による利回りも提供。
- 初日で1,200万ドル流入
競争が激化する中、REXは「今後ルールが整えば、スポット型Solana ETFも申請する」と表明。
今後の課題と注目点
- SECの最終ルール策定
申請・上場プロセスの標準化と迅速化が進むかが焦点。 - 市場競争の本格化
Solanaをはじめとする新規ETFの承認・上場を巡り、資産運用会社間のシェア争いが激化。 - 投資家への影響
より多様な暗号資産ETFへのアクセスが可能となり、商品選択肢が大きく広がる見通し。
まとめ
SECの新ガイダンスは、米国の暗号資産ETF市場が本格展開するための「ルールメイキング元年」と言える重要な一歩です。今後はさらなる規制整備と新商品の登場が見込まれ、投資家・業界双方にとって大きな転換点となるでしょう。
