
ウォール街大手が「ステーブルコイン」本格参入へ——規制整備と金融業界の未来
JPMorgan Chaseのジェイミー・ダイモンCEOとCitigroupのジェーン・フレーザーCEOが、米国議会での暗号資産規制法案の進展を受けて、“ステーブルコイン”への本格参入を表明。米銀大手がデジタル資産拡大へ舵を切る動きが加速しています。
主要ポイント
大手銀行トップが相次ぎ表明
- シティグループ(Citi)
ジェーン・フレーザーCEOがアナリスト向けに「Citi独自のステーブルコイン発行を検討している」と宣言。政権の後押しで銀行によるデジタル資産参入がしやすくなったことも強調。 - JPモルガンチェース(JPMorgan Chase)
長年懐疑的だったジェイミー・ダイモンCEOも、「JPMorgan Deposit Coin」「ステーブルコイン」の両方に参画し、仕組みを理解し追随していく意向を初めて明言。- すでに機関投資家向けにJPMD(預金トークン)導入を開始。
- 「競合他社と歩調を合わせるためにも必要」と発言。
- バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)
ブライアン・モイニハンCEOも、法律成立後に参画可能性を示唆。
米連邦議会で進む規制整備
- 「Crypto Week」と呼ばれる米議会週、暗号資産の網羅的規制・中央銀行デジタル通貨(CBDC)禁止・ステーブルコイン規制枠組み創設の三法案が審議対象。
- GOP内の一部反対派も最終的に賛成に転じ、法案成立の見通しが強まる。
- ステーブルコイン規制法案(上院可決済)
- 米ドル等に裏打ちされたステーブルコインの発行・管理を全米で初めて体系化。
- 発行体が100億ドル以上の資産を持つ場合は米連邦準備理事会(FRB)・通貨監督庁(OCC)が監督。それ未満は州当局。
- 満額償還を義務づけ、監査・情報開示も徹底。
- 議員や家族による利益相反を禁止(ただしトランプ家は除外)。
業界・企業の動き
- BOAを含め大手銀行が合同でステーブルコインネットワークを協議中。
- Amazon、Walmartも独自コイン構想を検討——伝統的決済ネットワーク(Visa、Mastercard等)への影響も警戒される。
ステーブルコインの利点と懸念点
ポイント | 内容 |
---|---|
メリット | ・ドル等に価値連動し価格が安定 ・即時送金やクロスボーダー取引に強み ・プログラム可能性(スマートコントラクト対応) |
懸念 | ・預金流出リスクやパニックラン ・現状取引の約88%は暗号資産間決済用(実決済利用は6%) ・金利付与不可など規制制約 |
今後の展開
- 法案成立・大統領署名なら、新規ステーブルコインの大量発行や銀行・大手テック参入が加速し、決済インフラの地殻変動も。
- 競争激化や規制対応強化による伝統金融・デジタル資産の一体化が進む可能性大。
- 今後は規制遵守・透明性・利用拡大を軸に、各社・業界再編の動きに注目。
ステーブルコインは、金融の“次の標準”になるのか。米議会、ウォール街、ビッグテック各社の攻防が本格化しています。