
トランプ家の新たな暗号資産ビジネス:自社間取引で巨額収益へ
1. 背景
トランプ家は、不動産帝国から暗号資産事業へと重心を移しています。その中心にあるのが昨年立ち上げられた World Liberty Financial(WLF)。同社が発行するトークン「WLFI」を巡り、グループ内企業同士の取引によって、トランプ家は 5億ドル超の利益 を得る可能性が浮上しました。
2. 自社間取引の仕組み
- 上場企業 Alt5 Sigma が外部投資家から 7億5,000万ドル を調達。
- その資金で World Liberty発行のWLFIトークンを購入。
- トランプ家が保有する関連会社が 売却収益の最大75%を獲得。
→ 実質的に「自分で作った商品を、自分の会社を通じて買わせる」循環取引。
元規制当局者からは「従来の金融ではあり得ない構造」との懸念が示されましたが、情報開示がされている限り米国証券法には抵触しないとみられます。
3. WLFIトークンと巨額評価額
- 発行済みトークン:330億枚。
- トランプ大統領は個人で 全体の3分の2を保有。
- 推定評価額は 60億ドル超(先物価格や公開情報に基づく試算)。
- 上場時は一部トークンのみ取引可能。大規模な売却は制限あり。
価格上昇を期待する投資家も多く、SNSでは「大統領の一言が相場を動かす」との声も。
4. 他の暗号資産事業
トランプ家はWLFI以外にも、
- USD1(ドル連動型ステーブルコイン)
- $Trump(ミームコイン)
- Trump Media(Truth Social運営会社)による暗号資産保有
といった事業を展開。政権も暗号資産企業に対する規制緩和を打ち出しており、事業環境は追い風となっています。
5. 規制当局・市場の懸念
- Alt5はかつて「収益の水増し」でSECから罰金を受けた前歴あり。
- World LibertyがAlt5株式を取得し、経営陣には エリック・トランプ が参画。
- Alt5は「トレジャリー戦略」として自社資金でWLFIを購入し続ける方針を表明。
→ 実質的に「自己資本で自社トークンを買い支える」仕組みは、市場操作や投資家リスクを招きかねないと指摘されています。
6. 投資家の反応
- 米ヘッジファンドPoint72や香港のファミリーオフィスSoul Venturesなど著名投資家が参加。
- 出資者は「タイミングとチームは完璧」と評価。
- 一方で、過去に発行された「Trumpトークン」が急落した経緯もあり、実際に利益を現金化できるかは不透明。
まとめ
トランプ家の暗号資産戦略は、政治的影響力とブランド力を背景に急拡大しています。しかし、
- 自社間取引による利益確保
- 自己トークンの買い支え構造
- 規制当局の警戒感
といった要素は、投資家にとって大きなリスク要因です。WLFIの取引開始は「トランプ家の資産構造」を一変させる可能性がありますが、その持続性と透明性は依然として疑問視されています。