
長期戦略を持つクリプト・トレジャリーは「どんな市場でも生き残る」──ハッシュキー CEO
背景:投機から戦略的運用へ
企業が保有する暗号資産(Digital Asset Treasuries=DATs)は、投機的な賭けではなく戦略的準備金として扱わなければ持続不可能と、HashKey CapitalのCEO 鄧超(Deng Chao)氏 が警告しました。
「持続性は規律から生まれる。暗号資産そのものが不安定なのではなく、管理の仕方次第だ」
HashKeyは2025年に香港で 5億ドル規模のDATファンド を立ち上げ、BTC・ETHを中心とした企業トレジャリー支援に乗り出しています。
HashKeyのDATファンドの特徴
- 対象資産:ビットコイン、イーサリアム
- 運用方針:オンチェーンインフラ、カストディ、決済、ステーキング、規制対応ステーブルコインなどへ積極投資
- 柔軟性:定期的な資金の出入りを許容、集中リスクを低減
- グローバル展開:香港発ながら、米国・日本・韓国・東南アジア・英国へ拡大予定
👉 特に 「流動性」と「運用効率」 を課題としてきた企業トレジャリーに対し、実用的なソリューションを提供。
DAT vs ETF:目的の違い
- ETF:個人・一般投資家向け、シンプルな価格連動商品。
- DAT:企業・機関投資家向け、暗号資産を長期の事業運用基盤に組み込むための仕組み。
📊 データ比較:
- スポットBTC ETF:総額 1,523億ドル(BTCの時価総額の6.6%)。
- 公開企業のBTC保有:111万BTC(1280億ドル)。
DATは「長期的な企業財務運営ツール」としてETFと補完関係にあります。
機関投資家が直面する壁
鄧氏は、伝統金融の誤解が依然として大きな障壁だと指摘:
- 「暗号資産=投機的で不安定」
- 「会計処理やセキュリティが複雑」
- 「既存制度との互換性がない」
これらの認識が、機関導入の妨げになっていると強調しました。
今後の注力分野
HashKeyは、次の3つを特に有望分野と位置付け:
- RWA(実世界資産)のトークン化
- 機関投資家向けOTC市場の拡充
- オンチェーン金融商品のインフラ整備
👉 これにより、断片的だった暗号市場が統合されたデジタル金融エコシステムへと進化する、と展望しています。
🔑 要点まとめ
- DATは「投機」ではなく「戦略的準備金」として設計すべき
- HashKeyのDATファンドはBTC・ETHを基盤にグローバル展開
- ETFとは競合せず、目的が異なる補完的ツール
- 誤解を乗り越えれば、企業財務に暗号資産を組み込む潮流が加速
- RWAトークン化とOTC市場が次の成長ドライバー