
ビットコイン反発、2週間ぶり高値──ETF流入は弱含みも「上昇トレンドの初期サイン」指摘広がる
■ 市場の現状:1兆ドルが消えた“10月以降の大幅調整”からの反発
ビットコイン(BTC)は水曜日に反発し、約2週間ぶりとなる93,965ドル付近まで上昇(+2.6%)。
イーサリアム(ETH)はネットワークアップグレード「Fusaka」への期待から4%以上の上昇を記録。
背景には、
- 10月の史上最高値126,000ドル超からの急落
- 仮想通貨全体で 1兆ドル超の時価総額が消失
という深刻な下落があったが、市場にわずかな回復ムードが広がっている。
■ 今回の反発理由:株式市場のリスク許容度が“仮想通貨へ波及”
IG社のアナリスト Chris Beauchamp 氏は、
「株式市場のリスク回復の動きが暗号資産市場にも染み出している」
と指摘。
前回93,000ドルで反発が止まったが、今回 再度突破したことで、トレンド好転への“初期シグナル” と見る声が出ている。
■ 月初の急落要因:MicroStrategy関連の売却懸念
週明けに市場が再び揺れたのは、
Strategy(旧MicroStrategy)CEO Phong Le氏の発言。
「債務返済のために必要ならビットコインを売却する可能性がある」
というコメントが広がり、市場は急落。
その後、同社は
- 14億ドルの現金準備を確保する計画
を公表し、売却リスクがやや抑制された格好となった。
■ 上昇を後押しした2つの材料
反発局面では、次のニュースが投資家心理を改善。
① SEC(アメリカ証券取引委員会)の「イノベーション免除」計画
SECのPaul Atkins 委員長が、
デジタル資産企業向けの新たな規制緩和策
の概要を公開予定と示唆。
② Vanguard、仮想通貨関連ETFの取引を解禁
巨大資産運用会社 Vanguard が仮想通貨ETF・投信の取引を許可。
これは、米国の保守的な機関投資家層にも変化が生まれつつあることを示す象徴的な動き。
FxProのKuptsikevich氏は、
「底打ちと複数の好材料が重なり、上昇トレンドの“生命兆候”が出てきた」
と評価。
■ 依然として市場心理は脆弱:ETF流入は“59百万ドルと弱い”
FalconXのSean McNulty氏は、
「上値には買いが少なく、センチメントは依然として脆い」
と指摘。
米国のビットコインETF12本の流入額も、
わずか 59百万ドル──“力強さに欠ける”水準。
これは、
- 投資家はまだ完全にはリスクオンに戻れていない
- 下落で傷ついた投資家が追随買いに慎重
という心理を反映している。
■ ショート勢に大きな損失:24時間で約4億ドルが清算
Coinglassによると、
過去24時間で約4億ドルのショート(売り)ポジションが強制清算。
これは反発の勢いを象徴する指標となっている。
■ 今後の展望:「本格上昇か、ただのリリーフラリーか」
QCP GroupのMelvin Deng CEO は、
「今回の上昇は“リリーフラリー(戻り局面)”に過ぎない可能性がある」
と慎重姿勢。
ただし同時に、
「アンダーエクスポーズド(過小投資)の投資家にとっては良いエントリーポイント」
とも述べ、短期的な強気シナリオの可能性を残した。
■ まとめ:強気材料は揃う一方、投資家心理は依然慎重
| プラス材料 | マイナス材料 |
|---|---|
| ・SECの緩和策示唆 | ・ETF流入が弱い |
| ・Vanguardの取扱開始 | ・投資家心理が脆弱 |
| ・底打ちの兆候 | ・MicroStrategy売却懸念が完全に消えていない |
| ・ETHアップグレードFusaka | ・1兆ドルの損失からの回復には時間 |
→ 結論: “回復初期のシグナル” は出ているが、まだ確信には至らない。
短期的にはボラティリティの高い相場が続く見通し。
2025年12月4日
Suvashree Ghosh / Emily Nicolle(Bloomberg)原文要約











