
取引の先へ──2026年、暗号資産の「本当の収益源」はどこに生まれるのか
ヤフーファイナンスに掲載されたInvesting.com 独占インタビューを参考にまとめ
要点サマリー
- 安定した次の収益源は「取引」ではない
- 主役はステーブルコイン発行そのものではなく、その上のインフラ層
- 銀行・フィンテック・DeFiを横断するルーティング/調整/決済(オーケストレーション)が新たな価値源に
- 2026年、暗号資産は「商品」から金融インフラへ移行する可能性
ステーブルコインは「取引ツール」から「実経済レール」へ
過去10年、USDTやUSD Coinなどのステーブルコインは、
- 取引所の流動性供給
- DeFiの担保
- クロスボーダー送金
- マーケットメイカーの資金移動
といった資本市場・取引中心の用途を支えてきました。
しかし2026年に向け、業界幹部の見立ては明確です。
「次の持続的収益は、トレーディングからは生まれない」
地銀・中堅銀行を変えるステーブルコイン送金
Stablecore共同創業者のニック・エレッジ氏は、
クロスボーダー送金が最初の破壊点になると語ります。
予測される変化(2026年)
- 地域銀行が大手コルレス銀行(中銀的存在)を経由しなくなる
- ステーブルコインを使い
- コスト:最大90%削減
- 決済:数秒・24時間365日
- 週末・祝日でも資金移動可能(FedWire依存から脱却)
「ステーブルコインの真の破壊力は“速さ”や“安さ”ではなく
“いつでも使える流動性”にある」
これは単なる送金効率化ではなく、
銀行間ヒエラルキーそのものの再編を意味します。
本当の収益機会は「つなぐ層」にある
FS Vectorのパートナー、エミリー・グッドマン氏は
さらに一段上の視点を示します。
キーワードは「オーケストレーション」
- 発行(Issuance)ではなく
- 調整・接続・決済管理(Coordination / Routing / Settlement)
「2026年の戦略軸は
ステーブルコインをどう“流すか”を管理する層に移る」
具体的には
- ブロックチェーン ↔ 銀行勘定系
- DeFi ↔ 決済ネットワーク
- オンチェーン ↔ オフチェーン
これら**“互いに会話できないシステム”を橋渡しする仕組み**に価値が集中します。
なぜここが「持続的収益」になるのか
ステーブルコインが実経済に浸透すると、世界はこうなります。
- 複数ブロックチェーン
- 複数発行体
- 多様なオン/オフランプ
- 国・地域ごとに異なる規制
👉 極度に分断された金融構造
この分断が生む需要こそが、新たな収益源です。
収益が生まれる領域
- 相互運用(Interoperability)ツール
- トランザクション・ルーティング
- 決済調整レイヤー
- 監視・コンプライアンス対応管理
- ハイブリッド金融の統合基盤
投機量を稼ぐ企業ではなく、
お金の流れを“管理”する企業が勝つ
2026年の結論:ステーブルコインは「商品」ではない
2026年に重要なのは、新しいステーブルコインの登場ではありません。
- ステーブルコインはインフラ(道路)
- 本当の収益は
- どの道を通すか
- どこで止めるか
- どう統合するか
を決める交通管制システムにあります。
未来像
- 銀行 × ブロックチェーン × 決済ネットワーク
- 単一の「取引ファブリック」として接続
- 価値は発行層の上に集積
ひとことで言うと
2026年、暗号資産の主役は
「トークン」ではなく
「お金の流れを設計・管理するレイヤー」になる
ステーブルコインはもはや投資対象ではなく、
次世代金融インフラの前提条件になりつつあります。











