
「静かに暗号戦争に勝ちつつある」決済大手PayPal
背景:金融と暗号資産の境界線が消える
銀行、フィンテック、暗号資産企業の境界が急速に薄れています。新たなステーブルコイン規制のもと、暗号資産企業が銀行のようなサービスを提供可能になり、一方で銀行や決済大手は暗号資産・ブロックチェーンの導入を加速しています。
その中で、PayPal(NASDAQ: PYPL) はすでに一歩先を進んでいます。2020年に暗号資産サービスを開始して以来、着実にエコシステムを広げてきました。
PayPalの暗号資産戦略:主なマイルストーン
- 2020年10月:暗号資産サービス開始(BTC、ETH、BCH、LTCの売買・保管)。
- 2021年4月:Venmoでも暗号資産取引を導入。
- 2021年3月:「Checkout with Crypto」を導入。対応する加盟店で暗号資産による決済が可能に。
- 2023年8月:独自ステーブルコイン PayPal USD(PYUSD) を発行。
- 2025年7月:「PayPal World」をローンチ。デジタルウォレット同士を接続し、国際送金や決済をシームレスに実現。
👉 4億3,000万以上のアクティブアカウントを持つ巨大な決済基盤と暗号資産の統合は、競合にない強みです。
市場環境と競合比較
- 株価の動き(2025年9月時点):
- PayPal:年初来▲20%
- Coinbase:年初来+30%
- ビットコイン:年初来+25%
PayPalは株価で劣後していますが、暗号資産ブームは規制緩和やワシントンの態度変化に支えられています。短期的にはCoinbaseのような「純粋な暗号企業」が優勢ですが、長期的にはユーザーネットワークと既存インフラの強さがPayPalに優位性をもたらす可能性があります。
投資家への示唆
- 逆風:競争激化、規制リスク、経済不透明感。
- 追い風:暗号資産採用拡大、PayPalのブランド力・インフラ。
- 注目点:暗号資産プロジェクトが「実用性を伴う段階」に移行したとき、PayPalはネットワーク規模と既存金融サービスとの統合力で勝ち残る可能性が高い。
🔑 要点まとめ
- PayPalは2020年以来、暗号資産を本業に組み込み着実に進化。
- ステーブルコイン(PYUSD)や国際決済プラットフォーム(PayPal World)で差別化。
- 株価では暗号企業に劣後も、長期では「利用基盤+金融インフラ」で優位性を持つ。
- 投資家は「暗号資産市場の次の実需フェーズ」でPayPalの存在感を再評価する可能性がある。