
Saylor式クリプト模倣企業に逆風:成長モデルに懸念
背景:マイクロストラテジーの成功と模倣者の台頭
マイケル・セイラー率いる MicroStrategy(MSTR/Strategy) は、2020年以降ビットコイン(BTC)への大量投資でソフトウェア企業から“ビットコイン企業”へと変貌。株価は当初から 2,800%上昇 するなど、投資家に巨大なリターンをもたらしました。
この成功を追うように、異業種の上場企業がビットコインをバランスシートに組み込み、株価上昇を狙う“セイラー模倣モデル”が急速に拡大しました。
現状:模倣企業の株価急落
しかし、熱狂は長続きせず、ここ数週間で多くの企業が株価下落に直面。
- Metaplanet(日本):▲36%
- Kindly MD(医療データ):▲87%
- Semler Scientific(ヘルステック):▲12%
- Trump Media & Technology Group(DJT):▲8%
- Cantor Fitzgerald系ファンド(Twenty One Capital予定):▲17%
一方、例外的に American Bitcoin(エリック・トランプ共同創業) が+16%、GameStop が+12%と上昇している企業も存在します。
投資家心理と市場の飽和
- 機関投資家の理由:
多くの機関投資家は規約上ビットコインを直接保有できないが、株式であれば保有可能。そのため、BTCトレジャリー株が「代替的なビットコイン投資手段」として人気を集めました。
例:ノルウェー政府系ファンド(Norges Bank)、米州年金基金(CalPERSなど)がMSTR株を保有。 - 市場の飽和感:
K33リサーチによると、180社以上 がビットコインを保有し、そのうち 94社は明確な模倣企業。供給過剰により投資家需要が分散、25%の企業は「保有BTC価値>時価総額」という逆転現象まで発生。
リスク:資金調達の壁と市場の警鐘
- MicroStrategyの課題:
- 主に転換社債で資金調達してきたが、株価ボラティリティが低下し、投資家への魅力が薄れる。
- 直近の社債は株価が2倍近くにならないと転換メリットがない。
- 格付け投資適格債の発行は難しく、増資すれば株式の希薄化リスク。
- ショート筋の警戒:
著名空売り投資家 ジム・チャノス は「MSTR株はビットコインより高く評価されるべきではない」と批判。 - 模倣企業の脆弱性:
本業の収益が薄い企業は、BTC価格下落時に資金繰りリスクが一層深刻化。
今後の展望
- トランプ政権の規制緩和 や 米国会計基準変更 によって、短期的には模倣企業ブームを後押し。
- しかし投資家はすでに「飽和」「過剰評価」へ警戒を強めており、淘汰フェーズ入りの可能性大。
- 長期的に生き残るのは、MicroStrategyのように一貫した資本戦略と強力な経営メッセージを持つ企業、または本業でキャッシュフローを確保できる企業に限られるでしょう。
🔑 要点まとめ
- MicroStrategy成功を模倣した企業が続出するも、多くは株価急落
- 投資家需要は分散し、市場は飽和状態
- MSTR自身も資金調達に限界が見え始めている
- 生き残りの鍵は「BTC依存からの脱却」と「本業の収益力」