米議会「クリプト・クランチタイム」まとめ
—2025年7月・下院で本格化する暗号資産政策攻防—
概要
トランプ大統領の「米国をクリプトの首都に」という公約実現をめぐり、米議会で暗号資産(仮想通貨)政策が大きな山場を迎えています。上院は6月に「ステーブルコイン」規制法案(GENIUS法)を可決しましたが、下院共和党はより包括的な「マーケット構造改革」法案も視野に入れ、来週から「クリプト・ウィーク」と称して本格審議に入ります。
1. 現状と対立構図
- 上院:ステーブルコイン法案(GENIUS法)を可決
- バイパーティザン(超党派)で可決済み
- ステーブルコイン分野の規制強化が主眼
- 下院共和党:より広範な規制改革を志向
- 長年温めてきた「マーケット構造」法案(証券・商品取引規則の抜本見直し)も同時に推進したい
- 「クリプト・ウィーク」として両法案の審議・採決を計画
- トランプ大統領・上院共和党:迅速な「クリーン」法案成立を要求
- ステーブルコイン法案への修正や他法案との抱き合わせに反対
- 「早期成立」を最優先し、市場構造改革は9月以降に持ち越しの構え
- 民主党の一部:大統領の利害関係に懸念
- トランプ家の暗号資産業界との関係遮断(大統領が発行者にならない等)を条件に賛成も検討
2. 今後の展開・焦点
- 下院での動き
- ステーブルコイン法案は単独で採決される見通し
- マーケット構造法案は超党派合意を目指し、民主党との最終調整が続く
- 一部民主党は「大統領の発行者禁止」など利益相反対策を求めている
- 上院との調整
- ステーブルコイン法案の修正は上院・トランプ政権が強く反対
- 市場構造改革法案は9月以降に持ち越される可能性が高い
- 規制の今後
- ステーブルコイン法案が可決されれば、米国の暗号資産規制の第一歩に
- より包括的な規制枠組み(証券・商品取引の明確化)は秋以降へ
3. その他の議会動向
- イスラエル首相ネタニヤフの議会訪問
- 7月9日(火)に上下院指導部と会談予定
- 国防権限法(NDAA)審議開始
- 上院軍事委員会で小委員会マークアップ開始、全体審議は水曜から
- 予算執行停止(Rescissions)問題
- 上院歳出委員長コリンズ氏が、トランプ政権の94億ドル削減案に修正を加える方針
- 外交支援や公共メディア予算の大幅削減に反対姿勢
まとめ
2025年7月、米議会では「クリプト政策」を巡る攻防が本格化。
- 上院主導のステーブルコイン法案と、下院共和党主導の広範な規制改革案が焦点
- トランプ政権は迅速な「クリーン法案」成立を要求し、下院の動きに圧力
- 民主党の一部は利益相反防止策を条件に協力姿勢
今週から来週にかけて、米国の暗号資産政策の方向性を左右する重要な局面を迎えます。
参考記事:ポリティコ