以下は、記事「Uganda tests CBDC as Africa’s top trade bloc boosts digital pay」の日本語まとめ記事です。
2025年10月14日付のJames Field氏による記事で、ウガンダの中央銀行デジタル通貨(CBDC)パイロット開始と、アフリカ地域におけるデジタル決済統合の進展を報じています。

ウガンダ、CBDC実証開始──アフリカ最大の地域経済圏がデジタル決済を強化)
🇺🇬 ウガンダ:5.5億ドル規模の「トークン化経済」構築へ
ウガンダは、アフリカ最大のオンチェーン経済を構築することを目指し、
CBDC(中央銀行デジタル通貨)実証実験を開始。
同時に、実物資産(Real World Assets, RWA)をブロックチェーン上に載せるトークン化プロジェクトも発表しました。
💠 パートナーシップと目的
ブロックチェーン企業Global Settlement Network(GSN)と、
ウガンダの「Karamoja Green Industrial & Special Economic Zone(GISEZ)」を開発するDiacente Groupが提携。
目的は、5.5億ドル(約8300億円)規模のインフラ資産をデジタル化すること。
対象には以下の分野が含まれます:
- 食料生産・農業加工
- 鉱業・資源開発
- 再生可能エネルギー(太陽光発電など)
- 貿易・物流インフラ
この取り組みは、「理論ではなく現実に根ざしたプログラム可能な経済」の構築を目指し、
個人・企業・政府が中間業者を介さずに直接的に経済活動へ参加できる仕組みをつくります。
🏦 ウガンダのCBDC(デジタル・シリング)
新たに導入されるデジタル・シリング(Digital Shilling)は、
- ウガンダ国債に裏付けられたCBDC
- GSNの許可型ブロックチェーン上で運用
- KYC(本人確認)・AML(マネーロンダリング防止)対応
- スマートフォンからアクセス可能(4,000万人以上が利用見込み)
GSN共同創業者ライアン・カークリー氏は、
「デジタル金融と実体経済のギャップを埋める、実用的なインフラを構築している」
と述べ、包摂的で持続可能なデジタル経済圏の形成を強調しました。
🌍 国家戦略との連動:Vision 2040 と AU Agenda 2063
このCBDC・トークン化プロジェクトは、
ウガンダ政府の**国家開発戦略「Vision 2040」**と整合しており、
「30年以内に農業中心の国から近代的で繁栄する国へ転換する」ことを目標としています。
また、アフリカ連合(AU)の長期構想「Agenda 2063」──
“アフリカを未来のグローバル経済大国にする”──にも直結。
Diacente Group会長エドガー・アガバ氏は、
「インフラ整備を超え、地域全体に長期的価値をもたらす取り組み。
トークン化とCBDCを統合し、透明でテクノロジー主導の成長を促す。」
とコメントしています。
🤝 COMESA:アフリカ最大の地域経済圏で「地域通貨決済」が実現
ウガンダが加盟する東部・南部アフリカ共同市場(COMESA)でも、
地域内貿易を現地通貨で決済できるデジタル決済プラットフォーム(DRPP)の実証が進行中です。
💡 COMESAの概要
- 加盟国:19か国(エジプト・ケニア・ウガンダ・ザンビア・ジンバブエなど)
- 総人口:約3.9億人
- 目的:地域内の貿易・サービス取引を促進し、外貨依存を軽減すること
🚀 進展状況
2025年10月9日の発表によると、
マラウイとザンビア間の決済回廊が統合試験を完了し、ユーザートライアル段階に進行。
ケニアのリー・キニャンジュ貿易相は、
「初めて、地域内貿易を現地通貨で直接決済できるようになった。
為替リスクを減らし、コストを下げ、中小企業や女性、若者が貿易に参加できるようになる」
と述べ、取引コスト3%以下・即時決済を実現する「ゲームチェンジャー」だと強調しました。
このプロジェクトは、COMESA清算機構(CCH)が主導しており、
従来の「地域決済・清算システム(REPSS)」を拡張する形で中小企業・フィンテック・銀行・モバイルマネーを結びつけています。
🧭 総括:アフリカのデジタル経済は「国家戦略×地域統合」で加速中
- ウガンダ:CBDCとトークン化経済で国家開発を推進
- COMESA:現地通貨での貿易決済を実現し、地域経済を強化
両者に共通するのは、「金融包摂」と「主権的デジタル経済の確立」というビジョンです。
これは単なる金融のデジタル化ではなく、
アフリカがグローバル金融システムの周縁から中核へと移行する転換点を示しています。