以下は、CBS News(2025年10月15日)報道「Feds seize $15 billion in bitcoin after busting alleged global crypto scam」をもとにした、日本語まとめ記事です。

【史上最大級】米政府、仮想通貨詐欺でビットコイン150億ドル押収──カンボジア発「豚殺し詐欺」の全貌
💥 事件の概要
アメリカ司法省は、カンボジアの巨大コングロマリット「プリンス・ホールディング・グループ(Prince Holding Group)」が関与したとされる世界規模の暗号資産(仮想通貨)詐欺事件で、ビットコイン150億ドル(約2.3兆円)を押収したと発表しました。
被告は同グループ創設者で会長のチェン・ジー(Chen Zhi)氏(37)。
司法省によれば、彼は強制労働と詐欺によって築かれた犯罪ネットワークを率いており、米国史上最大規模の没収事件として位置づけられています。
⚖️ 起訴内容と刑罰
ニューヨーク・ブルックリン連邦地裁に提出された起訴状によると、チェン被告は以下の罪で訴追されています。
- 電信詐欺(Wire Fraud)
- マネーロンダリング(Money Laundering)
有罪となった場合、最長40年の懲役刑が科される可能性があります。
現在、チェン被告は逃亡中であり、FBIが国際的な追跡を進めています。
🏦 「豚殺し詐欺」とは何か?
司法省によると、この犯罪ネットワークは、いわゆる「Pig Butchering Scam(豚殺し詐欺)」を使って被害者をだましていました。
これは、ソーシャルメディアやメッセージアプリで被害者に接触し、
「高利回りの暗号資産投資」と信じ込ませて資金を送金させる詐欺手法です。
実際には投資は行われず、送金された仮想通貨はすべて盗まれ、マネーロンダリングに利用されたとされています。
犯罪者らはその資金で豪華な旅行・不動産・娯楽に浪費していたと報告されています。
🧍♂️ 強制労働と人身売買の疑い
米司法省の調査によれば、プリンス・グループは強制労働による詐欺オペレーションを実施していた可能性があります。
- カンボジア国内には鉄条網に囲まれた“詐欺キャンプ”が存在
- 数百人が暴力と脅迫の下で詐欺業務に従事
- 一部はニューヨーク・ブルックリンからも運営支援
これらの被害者の多くは人身売買の被害者であり、国際的な人権侵害事件としても捜査が進められています。
💰 米政府と国際制裁の動き
米国財務省の外国資産管理局(OFAC)は、イギリス当局と協力し、プリンス・グループ関連の146の法人・個人に対して制裁を発動。
同グループを**「国際犯罪組織(Transnational Criminal Organization)」**に正式指定しました。
この行動は、暗号資産を利用したグローバル詐欺ネットワークの摘発として過去最大規模とされています。
🌏 カンボジアの“闇経済拠点化”
専門家のマーク・テイラー氏(Winrock International元職員)は次のように指摘します:
「カンボジアは東南アジアの詐欺・マネーロンダリングの中心地になっている。
チェン氏は政府上層部と密接な関係を持ち、長年保護されてきた。」
テイラー氏によれば、同国には200以上の詐欺センターとカジノが存在し、元詐欺労働者の証言や現地調査でその実態が確認されています。
📉 今後の影響と課題
今回の摘発は、暗号資産業界全体への波紋を広げています。
- 仮想通貨=匿名性と国境を越える資金移動の容易さが犯罪温床に
- ブロックチェーン監視技術の高度化で国際協力が進展
- カンボジアなど新興国での法整備と汚職対策が急務
米司法省は「被害者の資産回収」と「国際的な人身取引対策」を同時に進めると発表しました。
🚨 まとめ:AI詐欺の次は“人身詐欺”
仮想通貨詐欺の手口は巧妙化し、AI生成の偽プロフィールやディープフェイク動画が使われるケースも増えています。
今回の事件は、テクノロジー犯罪と人権侵害が交錯する新たなフェーズを象徴しています。
世界的な規模で「デジタル経済の闇取引」をどう取り締まるか、各国の法執行機関が試される時代に入りました。











